「英語」カテゴリーアーカイブ

東京外大合格

直前期に英語小論文を担当した生徒が、東京外大に合格しました。

外大対策をしたのは直前期でしたが、昨秋の早稲田大学の国際教養学部AO入試に向けた勉強が彼女の英語小論文を指導した始まりでした。そのときは残念ながら合格をもらえなかったのですが、今回、見事に第一志望の東京外大に合格しました。合否に関わる比重が大きいと言われる英作文の対策が実を結び、東京が大雪に見舞われたり、私大入試でへとへとになったりしたときにも頑張って通ってくれた成果が出て大変嬉しく思っています。

実は彼女、センター試験では思うように点が取れず、二次試験での《逆転》にかけて試験に臨んだのでした。ところが入試本番では「時間が足りなかった…orz」と、力を出し切った実感を持てず、後期に向けての試験勉強を本格化させないと…と考えていたところに前期日程で合格したのです。

《英語が得意科目》という受験生が集まる東京外大の入試で《英語で差をつける》のは決して簡単なことではありませんが、弱点だった英語小論文をたくさん書き、添削されたものをさらにまた書き直すなどの努力が実っての合格でした。

外大は、入ってからもコツコツと努力することが求められるハードな大学ですが、受験勉強の追い込みのときに見せくれた集中力があればきっと大丈夫でしょう。彼女の前途がますます輝かしいものでありますように。

簡単な単語の綴りを書き間違えるケアレスミスがけっこう多い娘だった、というのは内緒です(笑)。

杏林大学医学部(2014)の英語の印象

今日(1/24)は杏林大学の入試でした。 英語の形式は昨年同様でしたが、今年はやや難化した印象があります。 というより、いささか文句をつけたくなるような設問がいくつかありました。どういう意図で出題しているのか聞いてみたい、2ch的に言えば「小一時間問い詰めたい」ような設問があったのです。(ここ数年、杏林大学の問題にそういう傾向があるのですが。) まずは、最初の文法問題I.の(イ)です。

As authorities can tell (  ),
選択肢:you / me / them / it

この空所に入るものですが、全体の内容が《一般論》であることから、「一般人称のyou」入れるのが最適ということになります。 ですが、実際にyouを入れてみた”As authorities can tell you”はどこか不自然に感じられたのでした。念のため検索してみると、インターネット空間上にそういう英文は皆無だったのです。 実は最近の杏林大学医学部の英語は、TEDにある英文の断片を少し改変して文法問題のネタとして用いていることが多く、今回も出典をそこに見つけることができました。そして改変前のオリジナルは以下の通りだったのです。

And as Dan Buettner can tell you, having a strong social network is so crucial to our health.
ダン・ビュートナーが言うように、強い社会ネットワークを持つことは健康に不可欠です。

固有名詞Dan Buettnerを一般名詞のauthoritiesにすることで、出題者は英文として不自然なものに作り替えてしまっていたのでした。大学入試の出題というのは、こういうことが起こりうるので怖いです。 それから長文読解で(イ)のsubsidiaryの同義語を選ぶ問題ですが、このsubsidiaryは「子会社」としてこれ以上ないほど確立した単語で、類義語辞典を調べても今回の選択肢にあるような語は見当たりません。子会社というのは名目的には別会社ですからbranch「支店」とは本来異なりますし、かといってextension (office)「出張所」のような「施設外施設」はもっと違ってきます。結局消去法でbranchを選ばざるを得ませんが、どうもしっくりきません。出題者の思い込みによる出題のように思われます。 そして一番「酷い」のが長文の(ス)の空所補充です。文脈から当てはめようにも考え方次第でどれでも入りうるので、結局出典の文章で直接確認するしかありません。(ス)に入る文言は、下の文章の末尾部分です。

Life is the ultimate teacher, but it is usually through experience and not scientific research that we discover its deepest lessons. A certain percentage of those who have survived near-death experiences speak of a common insight which afforded a glimpse of life’s basic lesson plan. We are all here for a single purpose: to grow in wisdom and to learn to love better. We can do this through losing as well as through winning, by having and by not having, by succeeding or by failing. All we need to do is to show up openhearted for class. So fulfilling life’s purpose may depend more on how we play than what we were dealt. Jack Kornfield, the Buddhist teacher, describes a spiritual truth he learned at a bingo game he attended with his elderly parents in Florida. There on the wall, in huge letters, was a sign reminding the players, You Have to Be Present to Win.    (Rachel Naomi Remen, Kitchen Table Wisdom)

「勝利を得るにはその場にいなければならない」というのがビンゴ・ゲームにおける真実、というわけです。このBe Presentというのが、前のパラグラフ末尾のshow up openhearted for class「何事も受け入れるつもりで(人生の)レッスンに参加する」という《経験》を意味する表現のVARIATIONになるのですが…他の選択肢にもそれなりの根拠を考えることができるだけに、この設問はかなり無理のあるものとなってしまいました。 解答速報を配布していたYMSもWindomも間違えていましたね、残念ながら。

岩手医科大学(2014)とファインマン

今年の医学部入試がスタートしました。

数年前から、私立の医学部は互いに入試日程を調整しあうようになり、「なんとしても医学部に行きたい」という人にとっては連日受験という厳しい日程となっています。
今年も、1/21(火)の愛知医科大学からほぼ毎日のようにどこかの大学の入試があるような状況です。

さて、医学部の入試問題はその多くが非公開(試験後、問題が回収されてしまう)なのでなかなか復習に役立てられないのですが、英語に関しては、ときとして問題文に示されている出典や、いくつかのキーフレーズを覚えていると、原典の文章がわかって問題が再現できることがあります。

昨日(1/22)の岩手医科大学の英語でも、そういう問題があったので紹介しておきます。

In order for physics to be useful to other sciences in a theoretical way, other than in the invention of instruments, the science in question must supply to the physicist a description of the object in a physicist’s language. They can say “why does a frog jump?,” and the physicist cannot answer. If they tell him what a frog is, that there are so many molecules, there is a nerve here, etc., that is different. If they will tell us, more or less, what the earth or the stars are like, then we can figure it out. In order for physical theory to be of any use, we must know where the atoms are located. In order to understand the chemistry, we must know exactly what atoms are present, for otherwise we cannot analyze it. That is but one limitation, of course.
There is another kind of problem in the sister sciences which does not exist in physics; we might call it, for lack of a better term, the historical question. How did it get that way?

これは、かの有名な『ファインマン物理学』の第1巻第3章(The Relation of Physics to Other Sciences)が出典です。(全文はこちら。今ではCalTechで全文が公開されています。)
空所補充に加えて指示語問題、下線部和訳と出題されたわけですが、こういう英文はこれまでの受験勉強の中でも目にしていたことがあるはずです。というのも、ファインマンの文章というのは科学的であると同時にくだけていて読みやすく、入試問題の出典として非常に使い勝手がよいからです。

今回、生徒から試験問題をヒアリングしている際に「物理についての文章だった」に加えて「カエルのジャンプがどうのこうの…」と聞いた段階で、ユーモアを織り交ぜて科学について語っている点はファインマンっぽい文章の流れだな…というのは感じましたが、調べてみると本当にファインマンだったことにはびっくりしました(笑)
『ファインマン物理学』はこの世に出てから50年経ちますが、古くなったとは言え、今でも人気の高い物理の教科書です。説明が丁寧でわかりやすいことに加え、ファインマン自身の個人的な感想をちりばめた率直な文体であるため、非常に親しみやすいのです。
全3巻の末尾に、ファインマンはこのように記しています。

Feynman’s Epilogue
Well, I’ve been talking to you for two years and now I’m going to quit. In some ways I would like to apologize, and other ways not. <中略> So, for the two or three dozen who have understood everything, may I say I have done nothing but shown you the things. For the others, if I have made you hate the subject, I’m sorry. I never taught elementary physics before, and I apologize. I just hope that I haven’t caused a serious trouble to you, and that you do not leave this exciting business.

教科書の最後に「もし物理が嫌いになったりしたのなら、ごめん」と謝る教授も珍しいでしょう。その一方で、ファインマンがいろいろな場で繰り返し説いている《いい意味での科学至上主義》もこの中に含まれています。

I wanted most to give you some appreciation of the wonderful world and the physicist’s way of looking at it, which, I believe, is a major part of the true culture of modern times.
私がもっともしたかったのは、この素晴らしい世界の様子をみなさんに受け止めてもらうことでした。そして、現代における本当の文化の主要な部分を占めると私が信じている、物理学者の世界観を伝えることでした。

科学とは人類が勝ち得た宝であり、文明の根幹をなすというファインマンの考えは純朴すぎるのかもしれませんが、科学者が純真さを失わずに科学を追求できなくなったら、人類の進歩はどれほど停滞してしまうことでしょう。
ファインマンのエピローグは、次の言葉で終わります。

Perhaps you will not only have some appreciation of this culture; it is even possible that you may want to join in the greatest adventure that the human mind has ever begun.
もしかしたら、あなたはこの文化を受け止めるだけではないかもしれません。人類の頭脳がこれまでに始めた中で最高の冒険に、あなたも加わりたいと思うことだって、あるかもしれないのです。

こうして物理学(科学)への誘いをもってこの教科書は閉じます。やはりイイですね、ファインマンは。こういう熱い思いに触れると、自分も何かに熱中したくなります。

さて、このファインマンですが、素晴らしい物理の教科書を書いた人であるだけでなくノーベル物理学賞を受賞してる超一流の物理学者でもあり、さらには奇人・変人としても大変に有名な人だったりします。彼がいかに突飛な発想をもって日々を過ごしていたかを知ることのできる、楽しいエピソード満載の本を紹介しておきます。

原著で読めると、もっと楽しいかもしれません。若干語意面で苦労することもあるかもしれませんが、基本的には「聞き書き」で作られている本ですし、言い回しも平易なのでオススメです。ファインマン自身の言葉(文体)は、いかにも茶目っ気あふれた感じがして、何気ない文でもクスッと笑ってしまいます。

岩手医科の入試から、つい脱線してしまいました。
受験生諸君が怒濤の入試日程を全力で切り抜けてくれることを願っています。