アップローズキャリア 尾川直子からのメッセージ

テーマから逸れないこと(2015.05.02)

 公務員志望の学生さんの論文を添削しました。テーマは「高齢者の社会的孤立を防ぐために行政がすべきこと」という頻出のものでしたが、5人に1人の割合でテーマから逸れてしまっているものがありました。

 論文の「第一印象」は採点者によって異なります。字の綺麗さがまず気になる人もいますし、誤字脱字という人もいますが、「テーマから逸れていないか」という人も少なくありません。

 今回のテーマは先月、記事にした「コンパクトシティ」のように意表を突くものではないだけに、「書くことがないから、字数を埋めるためにわざと話を逸らした」ということにはならないでしょう。今回のようなテーマで、そのようなミスが起きるのは単に「テーマを理解する力」や「論文を構成する力」、「時間内に仕上げる力」がないことが理由のように思えます。

 中には「高齢化とは」という高齢化の定義を長々と記述したうえで、高齢化社会の原因や背景まで述べているものもありました。こういった内容の論文は大幅に減点せざるを得なくなります。

 今回のテーマでしたら、第一段落は高齢者の社会的孤立の現状について述べ、生き甲斐の低下、犯罪率の増加、孤独死などの問題点を挙げるといいでしょう。1200字以上が求められているのでしたら、第一段落に現状、第二段落に問題点でもいいと思います。

 そのうえで、行政がどのような対策をすべきか、対策ごとに段落を分けながら具体的に記述していきましょう。